日曜日の午後
灰色の祖国のなか 灰色の暁の猫背になった領域は、抱きあっていた、情熱もなく、おずおずと、
憎しみのうすらがぬ空、狼狽している海、不毛の大地は、抱きあっていた、
痩せ馬の疲れを知らぬ速馳、もう車も通らない街道、死にかけている犬や猫が抱きあっていた、
女たち、子どもたち、そして感覚の冴えかかった病人たちが、魅力ある青白い後光に包まれていた、
外景が、終わりのない日々、光のない日々が、理に背く夜々が、後光に包まれていた、
顔に嫌悪を刻みつけ、最後の雪の希望は、後光に包まれていた、
天体は厚みを増し、さまざまの唇らは薄くなり、無用のテーブルのように額どもは拡がっていた、
近づきやすい頂上は身をかがめ、最もうまみのない苦悶はやわらぎ、一つの役割しか演じないのを自然はよろこんでいた、
唖たちは応答しあい、つんぼたちはたがいに聞きあい、盲目たちは見つめあっていた、
涙すら泥まみれの鏡にしか映らないこの混沌の領域で、未来の祖国を混ぜこんだこの永遠の祖国で、
太陽が遺骸をゆすぶり起こそうとするこの国で。
2007.03.18 comment(0)
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